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964エンジンオーバーホール シリンダー&ピストンシリンダーは、シリンダーの高さで2グループ、ピストンはボア径で4グループに分かれています。まずは、それぞれが正しいグループの組み合わせになっているかを確認します。過去には、違うグループのもの...
18/10/2026

964エンジンオーバーホール シリンダー&ピストン
シリンダーは、シリンダーの高さで2グループ、ピストンはボア径で4グループに分かれています。
まずは、それぞれが正しいグループの組み合わせになっているかを確認します。
過去には、違うグループのものが組まれていたり、シリンダーは同じグループなのに、ピストンのボアグループが違っていたエンジンも存在しました。
メーカーが間違えたのではなく、どこかの時点で変わってしまったのだと思います。
964のピストンクリアランスは、0.02~0.03mmです。
ナロー時代はS、E、Tでも、それぞれクリアランスが違います。ナロー時代の0.06mm、0.07mmから、SC、3.2カレラと徐々に狭くなってきて、964では0.02~0.03mmです。
ストロークを伸ばしても、ピストンピンのコンプレッションハイトを短くすることで、ピストンの首振りによるシリンダーへのサイドスラストを抑えることができてきたのだと思います。
それ以上に、MAHLEの鋳造技術とニカシルメッキの技術が上がったのかもしれません。
今回のエンジンは、規定値内でした。
シリンダー、ピストン共に少し黒くなっているのは、WPC処理をしているからです。
また、ピストンリングにもWPC処理をしています。
一番の理由は、フリクションを減らしたい、摩擦熱を減らすことで、油温上昇をおさえたいからです。
空冷ポルシェで油温は、重要な部分です。
WPC処理は、耐摩耗性・耐焼き付き性・金属疲労強度を向上させ、エンジンや駆動系の摩擦を大幅に低減します。
表面形状が微小ディンプル(滑らかな凹凸のある形状)へ変化するので、潤滑油保持機能が付与され、摩擦摩耗特性を向上させます。
WPC処理による寸法変化は1μm以下、つまり0.001mm以下で、マイナス公差になるとされています。
そのため、ピストンクリアランスへの影響は、ほぼないと思って大丈夫です。
そして、ピストンピンにはDLC加工をしています。
DLCとは「Diamond Like Carbon(ダイヤモンド・ライク・カーボン)」の略で、金属表面に非常に薄い炭素系の硬質膜を形成する表面処理です。
非常に硬く、摩擦係数が低く、耐摩耗性にも優れているため、ピストンピンのように高い荷重を受けながら摺動する部分には適した処理です。
最近、ピストンやシリンダーにウェットブラスト加工をしているものを見かけます。
メディアに使われるガラスビーズが、100番200番1000番どの程度の粒度のものなのは分かりませんが、ブラストは基本的に研磨材をショットすることで表面の汚れを落とすものです。
そのため、ピストンクリアランスは広がる方向になり、ガラスビーズによるディンプル形状になる可能性があります。
ピストンやシリンダーのようにクリアランスが重要な部品には、やらない方がいいのではないかなと思っています。
同じ「ショットする」という作業でも、WPC処理とは意味が違います。
また、クランクケースやカムシャフトハウジングにブラストをしているものも見かけます。
クランクケースにはオイルラインがあり、さらにピストンを冷却するための、針の穴ほどの小さなスプレージェットが付いています。
カムシャフトハウジングにも、カムシャフトとロッカーアームをオイルで潤滑するためのオイルスプレーチューブが付いています。
これにも、針の穴ほどの非常に小さな穴があります。
ブラスト後に洗浄はしていると思いますが、問題は、本当に100%メディアが残っていないことを確認できるのかということです。
100%残っていないことを確認できるのであれば問題ありません。
ただ、実際には「100%残っていない」と確認する方法がないように思います。
細いオイル通路の内部まで確認できる内視鏡があるのであれば、話は別ですが。
ウォーターブラストは、非常に良い機械だと思います。しかし、エンジンパーツには向いていないような気がします。
オートエンジニアリングでは、オーバーホール時の洗浄はすべて手洗いです。洗浄台は2台用意して、オーバーホール時の組み立て前の洗浄は、常に奇麗な洗浄液を使用します。
ピストンヘッドのカーボンを落とす時だけ、60℃のお湯にメタルクリーンを入れ、ある程度カーボンを落としてから手洗いしていま。
機械で洗うのとは違って、手洗いのメリットは、洗っている時に細かな傷やパーツの違和感を確認しながら、同時にパーツの点検ができることです。
エンジンオーバーホールの本質は、摩耗・変形・クリアランス・油路・摺動面の状態を確認し、必要な部分を正しく修正して、本来の機能を取り戻すことだと思っています。

964 エンジンオーバーホール カムシャフトでどこまで変わるのか今オーバーホールしているエンジンに使用するカムシャフトは、Schrick製で、「288」と呼んでいるカムシャフトです。それなりにオーバーラップはありますが、極端に高回転だけを狙...
11/10/2026

964 エンジンオーバーホール カムシャフトでどこまで変わるのか
今オーバーホールしているエンジンに使用するカムシャフトは、Schrick製で、「288」と呼んでいるカムシャフトです。
それなりにオーバーラップはありますが、極端に高回転だけを狙ったカムではなく、下の回転域から結構トルクが出てくるカムです。カムシャフトと同時にバルブスプリングも交換し、こちらもSchrick製のものを使用しています。少し黒くなっているのは、WPC処理をしています。
964エンジンでよくあるカムシャフトの虫食いですが、写真の右側のようになっている場合は交換します。ただ、左側のように少しだけ虫食いをしている場合は、もちろん交換する方が良いですが、やはり費用がかさみます。オーナーに伝えて、表面をラッピングして整えて、WPC処理をしています。
理由は、WPC処理は表面を硬くすることが出来て摩擦抵抗を減らすことが出来ます、これ以上虫食いが進行するのを少しでも抑えるためです。WPCをしたからといって、必ず進行が止まるという話ではないですし、カムの虫食いが直るわけではないです。
今は、エンジンオーバーホールするエンジンは予防ですべてWPC処理をしています。WPC処理をすると、タペット音が静かになるので効果はあると思います。
このSchrick製のカムシャフトを使用する場合、バルブスプリングのセット荷重は105kgに合わせています。ノーマルエンジンは、IN34.5mm、EX33.5mmのバネ長で合わせますが、カムシャフトを交換する場合は長さでなく硬さで調整します。
まず、バルブスプリングにロアシートとアッパーシートを取り付けた状態で、バルブスプリングテスターを使って105kgになる位置まで圧縮します。その長さを測定して、そこからアッパーシートとロアシートの厚みを引いた長さが105kgのスプリングの長さになります。
カムシャフトの方も、カタログ上の数値だけではなく、ダミーヘッドを使って実際に組み付けた状態を作り、バルブのリフト量がどれだけあるのかを実測します。今回のカムシャフトは、実測で13mmのリフト量がありました。
先ほどバルブスプリングテスターで105kgになった時のスプリング長に13mm足した長さが、実際のセット長になります。
これは私が「これぐらいでいいだろう」と感覚で決めているのではなく、993時代には993カップと993RSR、ターボのGT2レーシングの空冷ポルシェのレーシングカーがありました。
カップカーはレブリミットが6800rpmで、マニュアルではバルブスプリングを105kgに合わせるよう指定されています。
RSRはレブリミットが7500rpmで、バルブスプリングは110kgに合わせるよう指定されています。
ターボのGT2レーシングも105kgです。
私はこのポルシェの指定を見て、そのまま真似しているだけです。
サーキットを全開で走る車に、実際にメーカーが指定しているスプリング荷重ですので、この数値を基準にしておけば問題はないと思っています。
それと、964の純正バルブスプリングについてですが、私はここは少しおかしいと思っています。
このバルブスプリングはナロー時代のものから変わっていません。品番も901品番です。
バルブ自体はナロー時代のφ35前後から964はφ49とかなり大きくなっています。
当然ですが、バルブが大きくなれば重量も増えます。本来であれば、それに合わせてバルブスプリングももう少し強くしていくのが自然だと思います。964のロッカーアームが折れやすい原因のひとつなのかなと思っています。
これが993になると、バルブスプリング自体の直径も大きくなり、容量を増やしてきています。テスターで測ってもセット長時の荷重は高くなっています。
964ノーマルカムのバルブタイミングは、吸気側が上死点前4°で開き、下死点後56°で閉じます。排気側は下死点前44°で開き、上死点後4°で閉じます。この数値から作用角を計算すると、
吸気側は、4°+180°+56°=240°
排気側は、44°+180°+4°=228°
ただし、この数値はバルブが1mmリフトした位置を基準にした数値です。実際はもう少しあります。
オーバーラップは、吸気バルブが上死点前4°で開き、排気バルブが上死点後4°で閉じるので、
4°+4°=8°
オーバーラップは8°です。これも1mmリフトでの数値なので、もう少しあります。
今回使用するSchrick 288のカムシャフトは、
吸気側が上死点前30°で開き、下死点後78°で閉じます。排気側は下死点前74°で開き、上死点後26°で閉じます。これもバルブが1mmリフトした時です。
これを計算すると
吸気側は 30°+180°+78°=288°
排気側は 74°+180°+26°=280°
オーバーラップは、吸気バルブが上死点前30°で開き、排気バルブが上死点後26°で閉じるので、30°+26°=56°
オーバーラップは56°です。
964ノーマルカムが8°ですから、数字だけを見るとかなり大きなオーバーラップを持ったカムだということが分かります。
この2種類のカムシャフトを表で比較してみると、イラストのような違いになります。
こうやって見ると、ノーマルに比べてオーバーラップが56°もあるので、「かなりすごいカムだな」と思われるかもしれません。
ただ、カムシャフトを見る時には、LSAという数値も重要です。LSAは、通常、カムシャフトのスペックには、のっていないことが多い数値です。
LSAとは、吸気側カムと排気側カムの中心角の間隔のことです。要するに、吸気側と排気側のカム山の中心同士の角度が狭いほど、よりレース用に近いカムシャフトになっていく、というイメージです。
一般的にはLSAが広い方がアイドリングや低回転域で扱いやすく、ストリート向きの特性になりやすいです。逆にLSAが狭くなっていくと、オーバーラップも大きくなりやすく、高回転寄り、レース寄りになっていきます。
993RSRになると、LSAは109°しかありません。
一方、今回使うSchrick 288は、ノーマルカムに比べれば、オーバーラップ自体は大きいカムですが、LSAはノーマルよりも広く取られていて114°です。
「288」は、LSAを広めに取ることで、ストリートでも使いやすい性格にしているカムだと思います。ストリートで使うことを考えると、今のところこのSchrick 288が一番バランスのいいカムだと思います、
作用角も大きく、オーバーラップもありますが、LSAが広めに取られているので、下の回転域からトルクも出て、街乗りでも使いやすい。それでいて上までしっかり回るので、ストリート用としては非常に使いやすいカムです。
964の3.6Lで、ノーマルマフラーのままでも300馬力は狙えます。
スロットルを大径化し、エキゾーストも交換したエンジンでは、320馬力出たこともあります。パワーを出すのに、3.8Lにする方法もありますが、費用対効果で考えると、この仕様の方が効果が高いし、エンジン特性が変わるので、私は、面白いと思っています。
今オーバーホール中の3.6Lエンジンには、今回初めて6連スロットルを組み合わせます。
今までこのSchrick 288はシングルスロットルでは使ってきましたが、6連スロットルとの組み合わせは初めてです。
どんなエンジンになるのか、今から楽しみです。

空冷ポルシェと電動エアコン1973年式のナローポルシェに載せるために、中古の3.2カレラエンジンを購入して、エンジンオーバーホール、カムシャフトを964カムに交換、当時の雰囲気を残したいのでITBはPMOの6連スロットルを選択、購入したエン...
04/10/2026

空冷ポルシェと電動エアコン
1973年式のナローポルシェに載せるために、中古の3.2カレラエンジンを購入して、エンジンオーバーホール、カムシャフトを964カムに交換、当時の雰囲気を残したいのでITBはPMOの6連スロットルを選択、購入したエンジンは、ディストリビューター、プラグコードも無かったので、ボッシュ製のトランジスター内蔵のダイレクトコイルにして、ダイレクトイグニッション化、エンジン制御はMOTECで行います。
オーナーのリクエストが、ヒーターはいらないけど、クーラーは付けて欲しいと言われていたので、エキゾーストも、当時の雰囲気でスチール製のRSRのレプリカにしました。
クーラーの方は、2年前に完成した70年のナローに取り付けしたアメリカ製のクーラーキットを購入、車両側の配管、コンデンサーも取り付けして、さあエンジンにコンプレッサーの仮合わせをしようと思ったらここで事件が発生してしまいました。
コンプレッサーがPMOのスロットルにあたって取り付けすることが出来ません。
せっかく購入したクーラーキットを無駄にはできないので、最初は軽自動車のコンプレッサーを取り付けしようかとも考えましたが、ただ無理やり付けるような形になるとせっかくのエンジンルームが不細工になってしまいます。
思い切って電動コンプレッサーにする方向で色々と調べてみると、まず購入する電動コンプレッサーのスペックを見ると、最大消費電流が50A、2300RPMになっています。3.2カレラのオルタネーターは90Aです。アイドル状態で50A以上を発電するかは不明です。
イギリス製のポルシェ用電動エアコンを見ると、170Aのオルタネーターも販売されている位なので、やはり90Aでは厳しい可能性もあります。
ただ、それよりもこの電動コンプレッサーにして本当に冷えるかです。
12V仕様で50A、エンジン始動中はオルタネーターから14V発生するとして計算すると、
14V × 50A = 700W
1馬力(PS)は約735.5Wなので、
700 ÷ 735.5 = 0.95PS
になります。
1馬力もありません。
アメリカから購入したキットのコンプレッサーはサンデン製の物が付いていて調べてみると、全く同じ型番の物は無かったですが、ベルト式コンプレッサーで、エンジン回転数で能力は変わりますが、1.5PS~3PS、さらに高負荷、高回転ではそれ以上になる物もあるようです。
アイドリング状態でも、1.5PS位は有ると思ってよさそうです。
単純に比べると、今回の電動コンプレッサーは非力です。
ただ、2年前に付けたアメリカ製のクーラーをもう一度見てみると、なんとコンプレッサープーリーが100Φ以上有りそうですが、クランクプーリー側は70Φ位の小さなプーリーが付いています。
仮にアイドリングが1000rpmとすると、コンプレッサーは1000rpm以下になります。
「もしかして行けそう」と判断して、オーナーに連絡して、「リスクはあるけど、電動コンプレッサーでやらして欲しい」と伝えると、逆にオーナーは、車の方はもともとクラシックカーレースに参加していた車なので、内装無し、ロールゲージが入っている車で、車も当時のレーシングカー風に仕上げようとしていたので、エンジンルームのコンプレッサーが無くなることに、エンジンの見た目がよくなるので喜んで電動コンプレッサー化に賛成していただけました。
こうなると、どうにかして冷えるようにしないといけません。
今回一番重要だと思っていることは、とにかく高圧側を上げすぎないことです。
ベルト式コンプレッサーなら少々高圧側が上がっても、ある程度は力で冷媒を押し込む力があります。
しかし、電動コンプレッサーは非力なので、高圧側が上がってしまうと、押し込む力がないのでどんどん電動コンプレッサーに負荷がかかって能力低下を起こすばかりか、冷媒を送ることも出来なくなる可能性があります。
なので能力の低いコンプレッサーで無理やり高圧を作るのではなく、コンデンサー側でしっかり熱を捨てて、高圧を出来るだけ低く保った状態で冷媒を回すという方向で考えています。
この車に取り付けしたコンデンサーは、930等に付いているサーペンタイン式ではなくパラレルフロー式で結構大型の物です。
まずはこれに出来るだけ大型の電動ファンを取り付けする所から始めようと思っています。
それでも高圧が上がるなら、前に弊社で製作した、リヤフェンダー内のコンデンサーを追加しようと思っています。
電動化でコンプレッサーは、車の前に付けることになるので、能力が低いのに、高圧側が一旦後ろのコンデンサーに行ってから前に戻す形になるのでそこは不利ですが、コンデンサーを通過した後は、液体冷媒になります。
逆に低圧側はエバポレーターを通過した後、直ぐにコンプレッサーに戻る形になります。
この低圧配管が長く、途中に低い位置があると、低圧側は圧力が低いので、配管抵抗による圧力損失が出やすく、オイルや汚れが溜まるオイルトラップにもなりやすくなります。
930、964もそうですがポルシェの場合、エンジンがリヤになるので、この配管が長くなってしまい、エバポレーターから一旦車両の下を走り、コンプレッサーがエンジンの上に付く配管になっています。
こうなると、配管の低い所に、ゴミやオイルが溜まりやすくなります。
国産のフロントエンジンの車を見ると、コンプレッサーは比較的低い位置に取り付けられていて、低圧配管もコンプレッサーに戻りやすいレイアウトになっています。
長く使用した配管内、特に低圧側は圧力損失が大きいと冷媒が戻って来ないので冷えが悪くなります。
クーラーサイクルの配管を清掃するとよく冷えるようになりますよ。
で、低圧側のホースを極端に短くすることで、コンプレッサーの入口までの圧力損失をへらして出来るだけ冷媒を効率よく吸い込ませる事が出来れば、ここは逆にプラスに働く可能性もあると思っています。
まだやっていないし、結果も出ていませんが、低圧側を短く出来るレイアウトは意外と理にかなったレイアウトかもしれません。
もう、すでに涼しくなってきたので、結果は来年になるかも知れませんが、また報告します。(私の自論も入っています、全てが正しいとは思わないで下さい)

930ターボエンジンオーバーホールxMOTECエンジンオーバーホール、カムシャフト交換、インテークマニホールドを3.2カレラ用に交換。 3.2カレラのインテークマニホールドに合わせてポートを41mmに研磨し、スロットルアダプターを製作して9...
27/09/2026

930ターボエンジンオーバーホールxMOTEC
エンジンオーバーホール、カムシャフト交換、インテークマニホールドを3.2カレラ用に交換。
3.2カレラのインテークマニホールドに合わせてポートを41mmに研磨し、スロットルアダプターを製作して964カレラ2のスロットルを 取り付けました。
インタークーラーはARC製のビッグインタークーラーに交換。 もともと付いていたT88タービンは大きすぎるので、ひと回り小さいGarrett GBC35-700、A/R 0.82に交換しました。
このエンジンはすでにツインプラグ仕様になっていたので、それまで使用していたCDI点火をやめて、トランジスター点火に変更しています。
オーナーのリクエストが450PSでしたので、450PSを目標にセッティングしました。 点火時期16度、ブースト0.9bar、レブリミット6500rpmでセッティングをスタート。
あっさり455PS出てしまったので、これ以上無理をする必要もなく、ここでセッティングを終了しました。 930の3.3ターボは、もともと機械式で点火時期を調整していて、ノーマルでも最大進角は26度くらいだったと思います。 ただ、パワーを上げれば当然メカニカル部分への負担も大きくなります。 必要以上にパワーを上げない方が、壊れる可能性が減るのは当然です。
古いBOSCH製のシャシダイでのセッティングだったため、4速では車速が270km/hを超えてしまい、6000rpmまでしか回すことができませんでしが、パワーグラフを見ると6000rpmでもまだ上がっている状態だったので、6500rpmまで回せていれば、もう少しパワーは出ていたと思います。
大気圧を約1.0barとして絶対圧にすると、吸気側が約1.9bar、排気側が約2.5barになります。 排圧は吸気圧の約1.32倍なので、排圧が極端に高い状態ではないので、タービンにも無理をさせている状態でははいと思います。
空冷ポルシェターボの歴史を見てみると、
930 3.3ターボ 
Kジェトロ+CDI点火+機械式点火時期調整 300PS
964 3.3ターボ 
Kジェトロ+トランジスター点火+電子制御点火時期調整 320PS
993 3.6ターボ 
モトロニック制御+トランジスター点火となり、燃料・点火ともに電子制御 408PS
993ターボでは、964カレラ2と同じインテークマニホールドが使用されています。
今回のエンジンに使用したカムシャフトは、993ターボのカムシャフトに近いプロフィールの物を使用して、 3.2カレラのインテークマニホールド、ポート研磨、964カレラ2のスロットル、大型インタークーラーを使用して吸気効率を上げて、 シングルターボとツインターボの違いはありますが、993ターボに近いエンジン仕様にしました 。
結果はブースト0.9bar、点火時期16度で455PS。 オーナーの希望は450PSでしたので、これ以上パワーを追いかける必要はないと思っています。
CDIとトランジスター点火
今回、このエンジンではCDI点火をやめてトランジスター点火に変更しました。
CDIとトランジスター点火は何が違うのかと言うと、CDIは、コンデンサーに電気を蓄え、その電気を一気にイグニッションコイルへ放電して高電圧を作ります。 CDIは非常に短い時間で高い二次電圧を立ち上げられることが出来ます。トランジスター点火のようにコイルそのものへ時間をかけてエネルギーを蓄える必要がないため、高回転になって1回の点火に使える時間が短くなっても強い火花を飛ばすことが出来ます。高い二次電圧を素早く立ち上げることのできるCDIは、高ブーストのターボエンジンでも有利になります。 逆にCDIは高い電圧の火花を出すことは出来ますが、放電時間が短いという特徴でもあり欠点もあります。 アイドリングや低回転域ではCDIはどちらかと言うと不利です。そこで出てきたのがCDIの短い放電時間を補う為に、複数回放電させるMDIです。MDIは、1回の燃焼に対して複数回の放電を行います。 CDIの素早く高い電圧を立ち上げて複数回火花を飛ばすことで点火を安定させるシステムです。
ある意味、ナローポルシェから3.0Lの911SCまで使われていたCDIをMDIに交換することで、アイドリングや低回転域も含め、今以上にエンジンを安定させることができる可能性があると思います。
トランジスター点火は仕組みが違って、イグニッションコイルの一次側に電流を流して、コイルそのものにエネルギーを蓄えます。 トランジスター点火の良い所は、CDIに比べて火花の飛んでいる時間を長くなることです。特にアイドリングや低回転の時は、次の点火までの時間が長い時は、コイルにしっかりエネルギーを蓄えることが出来るため、アイドリングや低回転域ではトランジスター点火の方が有利になります。 ただトランジスター点火にも弱点があります。
回転数が上がれば、1回の点火から次の点火までの時間は当然短くなります。 1個のコイルで複数の気筒を点火する場合、高回転になるほどコイルを充電するための時間が短くなってしまいます。964エンジンでオシロスコープで点火波形を見ると高回転になるにつれて2時電圧は下がって行きます。
CDIは高回転に強く、ターボ車では高ブースト車両に強い
トランジスター点火は、アイドリング低回転は有利ですが、高回転は不利になってきます。
そこで出てきたのが、ダイレクトイグニッションです。
ダイレクトイグニッションは各気筒に1個コイルが付いているので、プラグコード付きの1個のコイルだとクランクシャフトが2回転する間に6回仕事しますが、ダイレクトイグニッションは1回です。コイルに充電する時間が十分あるので高回転でも対応出来るトランジスター点火システムです。
996以降の水冷エンジンは、8000.9000RPMと高回転まで回るのでダイレクトイグニッションになりましたね。
(全てが正しいとは思わないで下さい、私の自論も入っています。)

964エンジンオーバーホール クランクシャフト クランクシャフトは、まずVブロックに載せて曲がりを点検します。 実際には曲がっているクランクの方が少ないです。しかし、オートエンジニアリングでは必ず点検します。過去に実際に曲がっているクランク...
18/09/2026

964エンジンオーバーホール
クランクシャフト
クランクシャフトは、まずVブロックに載せて曲がりを点検します。 実際には曲がっているクランクの方が少ないです。しかし、オートエンジニアリングでは必ず点検します。過去に実際に曲がっているクランクがあったからです。
3.2カレラ以降のクランクシャフトは、非常にバランスが優秀です。
クランクシャフトのバランス加工に出しても、日本車レベルでは「バランスを取る必要がない」と言われるほどで、すでにバランス加工をしたクランクと同じレベルでバランスが出ています。
実際にバランスを取る時は、クランクプーリー、フライホイール、クラッチカバーまで取り付けた状態げバランスをとるので、そこで初めて狂いを修正する程度です。
964のクランクで唯一あるのが、クランクプーリーを取り付ける部分が曲がっているクランクです。
エンジンをかけている状態でクランクプーリーを見て、 「なんか振ってるよな~」 と思うクランクは、この部分が曲がっていると思ってください。
残念ながら、クランクセンタージャーナル付近の曲がりであれば多少の修正はできますが、この部分の曲がりは修正することがで きません。
直すにはクランクシャフトを交換するしかありませんが、実際に交換したことはありません。ただ、そのクランクは完全にはバランスが出ていないということです。
曲がりを点検した後、ジャーナル部を青棒でラッピングして表面を整えます。 この後、クランクシャフトとクランクシャフトベアリングのクリアランスを測定します。
クランクケースにベアリングのみを取り付け、一旦ケースを仮組みします。 ケースに組まれたベアリングのボアをマイクロゲージを使用して測定します。 ここで本来なら、すべてそろっていれば良いのですが、そう簡単にはいきません。
次にクランクシャフトの各ジャーナル部をマイクロゲージで測定して、その数値の差からメタルクリアランスを確認します。 すべて綺麗に同じクリアランスになればいいのですが、実際にはなりません。 基準値をオーバーしている時は、0.25mmオーバーサイズのクランクシャフトベアリングを使用して、それに合わせてクランクシャフトを研磨したいところです。
しかし、マニュアルには研磨後、「PN 2063 ガス軟窒化処理をし、その後ポリッシュ仕上げをする」 とあります。
ポリッシュは青棒を使って行うことができますが、問題はPN 2063 ガス軟窒化処理です。
研磨したクランクシャフト表面を硬くするための処理ですが、この指定通りの処理をしてもらえるところが現在見つかっていません。ポルシェのクランクシャフトと言うとことわられます。 現代の技術ではWPC処理によって表面を硬くする方法もありますが、この部分については今後の課題です。
過去には、どうすることもできないため、クランクシャフトを研磨してガス軟窒化処理を行わずにオーバーホールしたエンジンもあります。 それでも何のトラブルも出ていないのも事実ですし逆によく回ります。
そこで考えたのが、クランクシャフトを研磨するのではなく、クランクケースのメタル取り付け部分を、オリジナルで製作した専用ジグとコンパウンドを使用してラッピングする方法です。
この作業を始めたきっかけは、約10年前です。
サーキット走行をしていた2台のエンジンをオーバーホールした際、メタルクリアランスを測定すると、基準値より狭い所がありました。本来ならケースをラインボーリングする所ですが出来ない状況で、基準値に入れるために、専用のジグを製作して、クランクケース側をコンパウンドでラッピングして1番大きいクリアランスに合わせたのがこの作業をするようになったきっかけです。
オーナーには何も言ってなかったのですが、「エンジンの廻りが良くなった」 と聞いて,「もしかして効果あった」です。
この2台のエンジンをオーバーホールしてから、オートエンジニアリングでオーバーホールするエンジンは、この作業をしています。余談ですが、腰下はオーバーホールする必要は無いと言う話しも聞きますが、やらなくていいという根拠がないのでオーバーホールは全てフルオーバーホールしています。
ただし、オーバーホールしているエンジンの中には、最初から各部のクリアランスに大きなバラつきがある場合もあります。 一番大きなクリアランスに合わせて揃えるため、場合によっては最終的なクリアランスが基準値より大きくなることもあります。 その場合は、オイル管理として1,500kmまたは1年でオイル交換をしてもらっています。
ただ、なぜかは分かりませんが、ここ数年オーバーホールしたエンジンは、測定した時点ですでにメタルクリアランスが基準値から外れているものが多くなっています。

オーストラリアのミッションメーカー、ALBINSから、ポルシェ915ミッション用の6速ドグミッションが出てますね。すごい!日本では購入する人は、いないとは思いますが?930をパドルシフトにすることも出来ます。https://www.albi...
12/09/2026

オーストラリアのミッションメーカー、ALBINSから、ポルシェ915ミッション用の6速ドグミッションが出てますね。すごい!
日本では購入する人は、いないとは思いますが?
930をパドルシフトにすることも出来ます。

https://www.albins.com.au/albins-a17-series

930ターボ、インタークーラー取り付け、吸気パイプ、マフラー製作して完成しました。あとはMOTECのセッティングのみです。
11/09/2026

930ターボ、インタークーラー取り付け、吸気パイプ、マフラー製作して完成しました。あとはMOTECのセッティングのみです。

03/09/2026

昨年の11月に預かった930ターボ、予定より3カ月送れましたが、エンジンに火がはいりました。
930のオイル冷却は、この38度の厚さでは無理ですね、オイルクーラーの下側に付いている小さな電動ファンでをMOTECでコントロールして90度から回していますが全く下がってきません。アイドリング状態で107度まで上がってしまいます。
走行テストは出来てないですが、走行風もそれほど期待できないので、この季節は無理っぽいです。クーリングファンから小さな金属音しているのが気になります。
この後、インタークーラー取り付け、吸気配管製作、マフラー製作、シャシダイナモでセッテイングして完成です。

356ミッションをフルオーバーホールしました。356のミッションは、基本的な構造は901型ミッションと同じポルシェシンクロ式の4速ミッションです。大きな違いは、左右にドライブシャフトが付いているため、ピニオンギヤー調整やバックラッシュ調整を...
06/08/2026

356ミッションをフルオーバーホールしました。
356のミッションは、基本的な構造は901型ミッションと同じポルシェシンクロ式の4速ミッションです。
大きな違いは、左右にドライブシャフトが付いているため、ピニオンギヤー調整やバックラッシュ調整を行う際には、デファレンシャルを分解する必要があることです。また、ピニオンギヤやドライブシャフトアクスルチューブの調整はシムではなく、ガスケットの厚みで行います。
さらに、ニードルベアリングは一般的な一体式ではなく、ニードルケージと約50本のローラーで構成されているのも356ミッションの特徴です。
今回はフルオーバーホールのご依頼でしたので、
・シフトスリーブ
・シンクロハブ
・シンクロリング
・ニードルベアリング
・ローラーベアリング
・デフサイドベアリング
を交換。
ドライブシャフトアクスルチューブも分解・オーバーホールを実施しました。
構造はシンプルなミッションですが、実際の作業は915ミッションのオーバーホール以上に手間が掛かります。各部の測定や調整を丁寧に行い、確実に組み上げることが重要なミッションだと思います。

930のエアコンを取り付けました。今回の作業内容は、・前後ともパラレルフローコンデンサーへ交換・6インチ電動ファンを4基追加・エバポレーターを脱着し、内部・外部を清掃・新品コンプレッサーを装着・エアコンホースはすべて新品で製作930は純正で...
01/08/2026

930のエアコンを取り付けました。
今回の作業内容は、
・前後ともパラレルフローコンデンサーへ交換
・6インチ電動ファンを4基追加
・エバポレーターを脱着し、内部・外部を清掃
・新品コンプレッサーを装着
・エアコンホースはすべて新品で製作
930は純正でプレッシャースイッチが付いていないため、ガスを規定量充填すると高圧側の圧力が上がりすぎ、コンプレッサークラッチを傷める可能性があります。そこで汎用レシーバータンクを使用し、トライナリースイッチを追加しました。これにより、高圧側が2kg/cm²以下、または26kg/cm²以上になるとコンプレッサーを停止させ、コンプレッサーを保護します。さらにトライナリースイッチの内部2回路を利用し、高圧側が約17kg/cm²になると第2段の電動ファンが作動するようにしています。
配線は150℃対応の航空・軍用規格に準拠した高耐久電線を使用し、コネクターもドイツ製の完全防水DTカプラーを使用して製作、配線トラブルが無いようにしています。。
結果は少し残念で、外気温38℃で吹き出し口温度は15℃でした。本音を言えば10℃前後まで下がってほしかったところです。
ただ、この猛暑では車にもエンジンにも厳しい環境です。9月になって外気温が30℃前半まで下がれば、吹き出し口温度もさらに下がり、十分に快適な性能になるのではないかと期待しています。

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